ビジネスモデルとは、簡単にいえば「ビジネスが上手く機能するストーリー」です。したがって、ビジネスモデルキャンバスを活用する際、各々のブロックを単に埋めるだけでなく、ビジネスが上手く機能するストーリーをデザインすることができなければ活きたビジネスモデルとはいえません。
ビジネスモデルを構成する要素の内部関係を理解することは、活きたビジネスモデルをデザインするだけでなく、第三者にそのストーリーを効果的にプレゼンテーションする際にも役立ちます。
アマゾンのフロントエンドストーリー(価値提供サイド)
アマゾンのフロントエンドストーリー(価値の提供サイド)を見てみましょう。
同社の価値提案の1つはロングテール(幅広い品揃え)ですが、一方でヒトは選択肢があまりにも多すぎると逆に選択できなくなってしまうという性質をもっています(これは、ジャムの法則と呼ばれます)。同社の提供する「おすすめ」は、幅広い選択肢の中から「あなたが最も関心をもちそうなアイテム」を推奨してくれるものです(これは、パーソナライゼーションと呼ばれます)。
また、パーソナライゼーションは、顧客セグメントを一人ひとりの個人レベルまで細分化しようとする「セグメントオブワン」というところまで行きつきます。おすすめは同社の最も重要なチャネルであるWebサイト上に構築されると同時に、結果としてチャネルを通じて同社の重要な収益の流れを形成していきます。
ザラのバックエンドストーリー(価値生成サイド)
次に、ザラのバックインドエンドストーリー(価値の生成サイド)を見てみましょう。同社は、ユニクロと同じくSPA(製造小売業)の代表格です。同社は「売れるものだけを作る」というポリシーをもっています。
ザラの主要な価値提案はファストファッション、つまり最新のファッションを手ごろな価格で手に入れることができるというものです。この価値提案の拠り所となるのは、世界中でネットワーク化されたリソース、具体的には顧客(顧客の声)、デザイナー、店舗、工場などです。超高速サプライチェーンという活動は、これらのリソースに依存しています。超高速サプライチェーンとは、一般的なアパレルメーカーの平均サイクルが6ヵ月であるのに対し、同社の平均サイクルは3週間であることを意味します。
同社の重要なパートナーは、スペインとその近隣国に存在する縫製工場であり、少ロットでの短納期生産を可能にしてくれるのです。以上のストーリーは最終的に、在庫コストの圧縮に結び付くことになります。
(関連ページ)ビジネスモデルデザイン
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